クラシック音楽の新しい聴き方を、クラブ仕様の音量豊かなサウンドシステムを通して、2011年以来、ほぼ毎月、提案し続けているトーク&リスニングイベント、爆クラ。
さる2月22日大阪、2月25日東京にて行われた、DJジェフ・ミルズと東京フィルハーモニー交響楽団とのコラボ公演は大盛況のうちに幕を閉じ、通常営業に戻った第一段は、なんと、ゲストに作曲家の新垣隆さんをお迎えします。
新垣さん、世間を騒がせた佐村河内事件の渦中の人物だったわけですが、様々な雑音を割り引いたところで、その楽曲自体は非常に魅力的でした。最近のご活躍を見る限り「良い曲は必ずそれを見つけ出す人々の耳がある」という、音楽業界に伝わる格言を思わずにいられません。
さてさて、かつて、作曲家とは音楽大学で学んでなるもの、ポップスにおいては少なくとも楽器ができる者だけが手を染められる職業でした。しかし、今ではコンピューター上でそれが簡単にできてしまうし、「別段才能が無くても、パズルのように楽曲ができてしまう」といったヒット曲の構造分析本も出ています。
新垣さんは、交響曲、男性合唱曲、ピアノ協奏曲など、多くのスタイルに挑み、我々の耳に親しまれている調性音楽から、現代音楽までをもカバーする、極めて現代的なクラシック作曲家です。彼が中学三年の時に創った『ピアノのためのソナタ』に顕著なリリカルなメロディーセンスの一方で、アブストラクトな現代音楽にも手を染める多彩さ。
メロディーとリズムがあればすでにもう音楽、というベースラインから、音響、構造までが想像の範疇に入る交響曲まで、作曲家はどのような意図や意識を持って取り組むのか? または、作曲家だからこそ見えてくる、ベートーヴェンやモーツァルトなどの巨匠たちの魅力。そして、クラシック音楽を巡る経済論までを、聴きそして語っていきます。
ゲスト
新垣隆(にいがきたかし)
1970年、東京に生まれる。4歳よりピアノを始め、ヤマハ音楽教室で作曲を学ぶ。千葉県立幕張西高校音楽科入学、1989年桐朋学園大学音楽学部作曲科に入学。在学中、若き同志による型破りな音楽に視覚的な要素を加えた演奏会「冬の劇場」に参画。同学科を卒業後、作曲家ピアニストとして多岐にわたり精力的に活動する。作曲家としては、昭和期における作曲家達の研究に従事し現代音楽を主体としつつ映画やCM音楽の作曲も手掛ける。2014年2月、佐村河内守のゴーストライターを18年間務めていた事を懺悔告白。「交響曲第一番HIROSHIMA」「ヴァイオリンのためのソナチネ嬰ハ短調」等の作曲家として、俄かに脚光を浴びる。作曲を南聡、中川俊郎、三善晃、ピアノを中岡秀彦、河内純、夢藤哲彦、森安耀子の各氏に師事。
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