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GREETINGS FROM REIKO YUYAMA

​湯山玲子のごあいさつ

震災の年、2011年の5月11日に「ショスタコーヴィチ」をテーマにスタートした<爆クラ>は、2022年の5月3日に100回を迎えます。<爆クラ>プロデュースのコンサートが昨年末と3月と目白押しにあり、「100回目はさらっと実施でいいや」と思っていた矢先に、今、会場にしているDOMMUNEとPARCOの方から「やるしかないだろう!!!」オファーをいただき、ソノ気になってしまったわけです(こういうことが、人生に多発するタイプ)。

思えば第1回目から10年経って、社会の様相は大変化。クラシック音楽もSNS、YouTubeの影響を受けて大きく変わりました。<爆クラ>は「クラシック音楽の新しい聴き方を提案する」というのがコンセプトですが、そのコンセプトが預言であったように、クラシック界は変化してきました。

かつてはマニアの中だけで知られていたレア楽曲やライブ映像に誰でもがYouTubeで瞬時にアクセス、演奏家たちは、自らの番組を配信し、駅や商業施設のストリートピアノで、リストの超絶技巧練習曲『マゼッパ』を弾いてアピールするという時代になり、クラシック音楽は、コンサートホールやオーディオ機材ありきの「聴き方」から、多様性の方向へ。キャリアのスタート時に<爆クラ>に出演し、気軽に演奏を披露してくれた反田恭平さんは、ショパンコンクールで2位を獲得し今や時の人です。

<爆クラ>では古典よりも、断然人気の現代音楽は、現在、コンサートレパートリーに多く見られるようになり、〜クラ、と銘打った公演を度々目にしたり、<爆クラ>が常々主張してきた「クラシックは新曲が大事」という意見も、藤倉大さんの(88回目のゲスト)の世界的活躍や、日本コロムビアの新作発注とコンサートの企画の誕生で現実化しています。そう、ニッポンのクラシック音楽事情に、爆クラは少なからず影響を与えてきたのかも!!!

プログラムの内容は以下の通り。夜の女王が支配する夕方から、深夜にかけて、渋谷の空の下、声楽アンサンブル、オーボエ、マリンバ×サクソフォーンの生演奏があります。音響を誇るストリーミングスタジオ「SUPER DOMMUNE」では「クラシック・ディスコティーク」が開かれ、<爆クラ>の歴史を飾った名DJたちが、「体感するクラシック」をプレイ。日中午後の屋上では、クラシックを野山に放つプロジェクト、<爆クラアースダイバー>のvol.4 として「渋谷の空を聴く」と、楽器に初めて触れて、音を出すことができる「楽器と声楽 0→1ゼロイチ体験講座」、そして、それらを挟み込む形で、爆クラならではの、クラシックをテーマで切り取り論じる、ゲストトークが展開します。 

 

さて、100回の記念フェスでは、もう一度、<爆クラ>の原点を見つめ直そうと思っています。それは、アジールでいること。そう、ムラのガイジン戦略(by 上野千鶴子さん)ですね。<爆クラ>を10年もやっていると、クラシック音楽や業界におのずと詳しくなります。加えてクラシック音楽は、演奏も批評も歴史を背負って、非常に奥深い。ディープで閉鎖的ゆえに音楽芸術の神髄が存在するという「意味のあるムラ」ですが、その魅力的な重力に引っ張られず、なんとかその周辺で、「今、クラシック音楽を聴くということは、どういうことなのか?!」ということを探求していきたい(まさにそのテーマの序章が今回のフェスのトークテーマです)。<爆クラ>だからこそできる、アジールな立ち位置にて、クラシック音楽についての表現や行動をやっていく所存なのです。

​湯山玲子