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‎爆クラ<第54夜>「むせび泣くだけじゃないぜ! サキソフォーンは」ゲスト:上野耕平

 サキソフォーンはクラシック由来の楽器だと言うことを知っていましたか? 1840年代にベルギーの管楽器製アドルフ・サックスによって考案されたクラシックの書きとしては新参者。しかし、木管楽器の動きの自由自在さと、金管楽器の抑揚の大きさを兼ね備えたこの楽器は、たとえて言うならば、多彩な人の声にも似た、異様に魅力的な音色を持って、クラシック音楽に新風を吹き込んだのです。


 しかし、人々が親しんでいるのは、断然、ポップス分野でのそれ。テナーサックスのむせび泣くようなプローでお馴染みの演歌や、ジャズ方面では、ジョン・コルトレーンという、むせび泣きどころか、冷たい慟哭のようなテナーサックスの音色があり、多くの人の心をガッチリつかんできました。


 私、湯山にしても、サックスのあのつんざくような咆吼、ジャジーでくぐもったハスキーボイスのような語り口、ファンクの奏者に特徴的な硬質で乾いた音色に惹かれるだけに、「さて、クラシック音楽におけるサキソフォーンの音色は?」と興味津々なのです。


 ドビュッシー、ラヴェル、ムソルグスキー、フィリップ・グラス、黛敏郎など、サクソフォンの魅力に取り憑かれた作曲家も多く、特にグラスの『Mishima』の4重奏曲などは、むせび泣きと真逆の中世の教会音楽ののような厳粛な響きがあり、これはみなさん、あまり聴いたことのないサキソフォンの魅力でしょう。


 ゲストにお迎えするのは、若手のサキソフォーン奏者として、現在大注目の上野耕平さん。第28回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門において、史上最年少で第1位ならびに特別大賞を受賞。2014年の第6回アドルフ・サックス国際コンクールにおいて、第2位を受賞するなど、久々に我が国にあらわれたサックスの星。


 というわけで、サキソフォーン切りの今回の爆クラ ライブもクラシックの名曲たちに加え、コルトレーン、フェラ・クティ、メイシオ・バーカー、そして、例のむせび泣くド演歌サックスまで、聴き比べル所存。上野氏による生演奏も、きっとあるはずですよ!

 教養としてのクラシックではなく、クラブカルチャーを経た耳を持つ人にこそ体験してほしい、この爆音音浴。生演奏がデフォルトだけれど、録音とオーディオという現代のテクノが入ってこその、音と脳と身体とのセッションを堪能して下さい。


 「晴れたら空に豆まいて」に移ってからの、「毎回、音響実験です(アコースティック・リヴァイヴ社長石黒氏)」最高音響システムに、今回のテーマは、どんな回答を出すかも、に期待。


 みなさまのご来場をお待ちしています。



ゲスト

上野耕平

茨城県東海村出身。8歳から吹奏楽部でサックスを始め、東京藝術大学器楽科を卒業。これまでに須川展也、鶴飼奈民、原博巳の各氏に師事。第28回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門において、史上最年少で第1位ならびに特別大賞を受賞。2014年11月、第6回アドルフ・サックス国際コンクールにおいて、第2位を受賞。現地メディアを通じて日本でもそのニュースが話題になる。また、スコットランドにて行われた第16回世界サクソフォンコングレスでは、ソリストとして出場し、世界の大御所たちから大喝采を浴びた。2015年9月の日本フィルハーモニー交響楽団定期公演に指揮者の山田和樹氏に大抜擢。CDデビューは2014年『アドルフに告ぐ』、2015年にはコンサートマスターを務める、ぱんだウインドオーケストラのCDをリリース。現在、演奏活動のみならず「題名のない音楽会」、「報道ステーション」等メディアにも多く出演している。《The Rev Saxophone Quartet》ソプラノサクソフォン奏者、ぱんだウインドオーケストラコンサートマスター。

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