「私は愛之助が、千代丸を名乗っていた頃から、目を付けていたのよ」と、これ全ての芸術関係ご贔屓筋の誉れですが、今回はまさにその体験をみなさまにしていただきたく思います。「反田恭平がまだ20歳の頃から、私、目を付けていたのよ」と!
4歳でピアノに触れてはいるが、12歳から本格的にレッスンをスタートした、という、幼児英才教育が当たり前のピアニストの世界ではスロースターターの彼ですが、めきめき頭角を現し、高校在学中に第81回日本音楽コンクール第1位、併せて聴衆賞を含む4つの特別賞を受賞し(それも、事前に文化祭のミュージカルで役者で出るための練習とオートバイ事故のアクシデントに見舞われながらの……)、第25回チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクールに優勝するなどの快進撃を続けています。(ちなみに、彼のピアノは、ホロヴィッツが愛奏したヴィンテージ・ニューヨーク・スタインウェイ。これは、彼の演奏に惚れ込んだタカギクラヴィア株式会社からの提供なり)若干20歳。クラシック業界を震撼させている恐るべき才能、というわけなのですが、私が彼の才能に惹きつけられたのは、リストの「愛の夢 第3楽章」での演奏。このあまりにもお馴染みの曲は、クールを気取るツンデレ路線か、甘ったるいロマンチック、ズブズブ攻撃になるか、タダのキャッチーな名曲に収まってしまうか、の大変に難しい曲なのですが、彼の表現はアルペジオに押さえた官能性を漂わせ、情熱と諦観というそれこそ「恋愛のすべて」が込められているのに仰天。
20歳の今から、こんなセンスを持っているならば、末はいったい、どうなっちゃうんでしょうかねぇ、という、詩人のランボーや三島由紀夫みたいな存在なのですよ。
そして、デビューアルバムはフランツ・リストの曲ばかりを集めた「LISZT」。テクと美メロでしょ、と、ツウを気取るクラシックファンからは、少々煙たがられる作曲家に会えて挑むところに、確信犯ぶりも垣間見られます。
そういえば、実は今まで1回も爆クラで紹介されたことのないリスト。この際、その魅力を徹底的に取り上げ、新しい光を当てていくと共に、反田恭平というピアニストの「秘訣」にも迫っていきたいと思います。
そしてそして、今回、会場の「新世界」にピアノがある、ということで、もしかしたら、生演奏が聴けるかも!!!!! 是非、ご来場下さい。
ゲスト
反田恭平(そりたきょうへい)
1994年9月1日、札幌市生まれ、東京都出身の20歳。2012年 高校在学中に、第81回日本音楽コンクールで第1位、(高校生での優勝は11年ぶり、併せて聴衆賞を受賞)し、毎日新聞社主催による全国ツアーで好評を博す。2013年、桐朋学園大学音楽学部に入学するも、2014年チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席(日本人初の最高得点)で入学。現在、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、セルゲイ・クドリャコフ、アナスタシア・ガマレイ各氏に師事。ロシアを拠点にし、国内外にて演奏活動を意欲的に行っている。タカギクラヴィア株式会社のサポートを受け、ホロヴィッツが愛奏したヴィンテージ・ニューヨーク・スタインウェイを弾く。7月には日本コロムビアから初のCD『リスト』がリリースされた。9月には、東京フィルハーモニー交響楽団定期への異例の大抜擢を受け、ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 を(指揮:A. バッティストーニ)、また、新日本フィルハーモニー交響楽団と「フレッシュ名曲コンサート」にてチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(指揮:円光寺雅彦)を演奏することが決定している。
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