↑最近図画工作にハマっています。コラージュと題字by Reiko Yuyama
「思い出さえも 残しはしない 私の夏は 明日も続く」
石川セリ「8月の濡れた砂」より
なーんてね!
そろそろ、暑さに飽きてくる8月の終盤こそが、実は夏の真骨頂で、エネルギッシュに栄えていたものに、少しづつ違う時代の気配が忍び込む、かすかな具合が私は非常に好きなのですが、そんな端境にまたまた、「爆クラ」のお誘いです。
題して爆クラ<第4夜>「ブルックナー 音響アーキテクトの大伽藍」
録音クラシック音楽を爆音で聴く「爆クラ」の、確実にひとつの頂点になるであろう第4回目は、8月29日(月)。今回は、ワンアンドオンリーのオーケストレーションを誇り、全てのオケリスナーは、最終的ににここに行き着くという、彼岸の大巨匠、アントン・ブルックナーに挑みます。
11曲ある交響曲は、長大&重厚という当時後期ロマン派の特性の一方、表題性/物語性の少なさ、オーケストレーションの特異性などが当時、相当先進的だったらしく、演奏を拒否られるわ、愛弟子には勝手にその楽譜を書きかえられ、評論家間で大論争にまで発展したという、とんでもないブログレッシブ野郎だった!(先日行った「爆音プログレ」以来、こっち系が続くなり)
今も、お盆の最中に、交響曲第8番ハ短調第2楽章を聞きながら、これを書いているんですが、何というか、一歩一歩(第一テーマね)、壮大な建築物(たとえば、ガウディーのサクラダ・ファミリアのような)テクスチャーを愉しみながら歩いて行くような、時間の旅についつい、頭が占領されてしまいます。
参考資料↓
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」第1楽章
ひとつの頂点、交響曲第8番ハ短調第2楽章。フルトベングラー指揮。こういう、ブルックナーフリークが世界中に、いったい何人いるのだろうか!
そう、これは音響の建築。構造計算(姉歯)に想いを馳せながらも、美しい小庭があったり、舞踏会の大広間があったり、らせん階段があったり、望楼からみるオレンジ色の夕陽があったりする。ああ、もう、クラブミュージック好きには、人は「あっ、ブルックナーって、DJのロングセットプレイ」とその神髄を直感的に分かっていただけるでしょう!!
今回のゲストは、某レコード会社にてクラシックとジャズの制作プロデューサーとして活動する、杉田元一さん。ニューウェーブ、テクノ等のジャンルで執筆活動もしている彼ならではの、「クラシック、音響、ブルックナー」の魅力を十分に語っていただきます。(ブルックナーの音楽を効果的に配した彼の末裔たる、Sun Electricによるライヴ・エレクトロニック作品のおまけ付き)
教養としてのクラシックではなく、ドミューンに親しんだクラブ耳を持つ人にこそ体験してほしい、この爆音音浴。生演奏がデフォルトだけれど、録音とオーディオという現代のテクノが入ってこその、音と脳と身体とのセッションを堪能して下さい。
曲目予定
・交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」第1楽章
カール・ベーム指揮ウィーン・フィル
・交響曲第7番ホ長調 第2楽章
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル
・交響曲第8番ハ短調 第2楽章
ギュンター・ヴァント指揮ベルリン・フィル
・交響曲第9番ニ短調
ファビオ・ルイージ指揮ドレスデン・シュターツカペレ
番外として
・サン・エレクトリック「30.7.94ライヴ」より
ゲスト
杉田元一
1961年生まれ。茨城大学人文学部心理学専攻卒業。卒論のテーマは「ブライアン・イーノ」。ジャズ狂の父、フォーク・マニアの母、クラシックオタクの伯父からそれぞれの音楽をおしつけられるも、自身は特撮ソングばかりを聴いて小学生時代をすごす。中学校の頃から現代音楽に傾倒。大学時代にはオーケストラ活動をしつつ、シンセサイザーでピンポン録音に凝り、自分で作ったプレ・アンビエント作品を人に聞かせまくっていやがられていた。社会人になってからは音楽雑誌の編集者として働きながら、隠れてクラシックやニューウェイヴ、テクノの原稿を書きまくっていた。現在は某レコード会社にてクラシックとジャズの制作プロデューサーとして活動中。
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